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イシガメベビーを水カビから守るには [イシガメベビーの管理法]

カメ飼育者の方々にとっては孵化のラッシュも落ち着く時期です。
ベビーの飼育ってのはなかなか癖がありますんで大変ですが、
種によっては一定のコツさえ押さえればさほど面倒ではありません。

身近な種でありながらベビーの飼育で結構苦労するのがニホンイシガメ。
ベビーはとにかく皮膚病が出やすいので、初期の飼育は気を使います。

1番簡単なのは日の当たる屋外で飼育することなんですが、少しでも
天候不順が続くと、屋外での飼育でも皮膚病による被害を免れません。
そのような時には対処法を知らないと手遅れになることもあります。

毎年8~11月にかけて、その年孵化したイシガメのベビーが出回ります。
そんな時期だからこそ、管理法と皮膚病の対処法をまとめようと思います。
今回は孵化から餌付けまでの流れも書いておきます。

1.孵化

孵化したイシガメの子はまだ腹に卵黄が残っていてヘソのように見えます。

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これが完全に腹甲内に吸収されるまでは、孵化容器のなかで養生します。
孵化容器の中にまだ孵化していない卵がある時は、湿らせたミズゴケを
別途用意して孵化容器と似たような温度で養生させます。

ヘソが吸収されるまでの数日間は特にエサや水は必要としませんので
この間に、飼育用の容器をゆっくりと準備できます。

2.餌付け

ヘソが完全に吸収されるとこんな感じになります。

IMGP0084.JPG


ここまでくれば、水や餌を欲しだします。

餌食いには気温や水温も大きく影響しますので、餌をやるときには
気温は25℃、水温は20℃程度の環境を用意してやることも大事です。
9月ごろであれば日当たりのいい窓際で楽に確保できる環境です。

IMGP0083.JPG


ベビーは餌を探すときに水底を嗅ぎまわるように餌を探すので、
最初の餌は沈む餌がいいです。沈む餌が無ければ、水深を極浅くして、
浮餌に水を十分に含ませたものを撒けば問題ありません。

イシガメは比較的簡単に配合飼料に餌付きますが、野生採取個体等で
餌付きが悪いと感じる場合は、冷凍赤虫や乾燥赤虫、ミミズ等を使うか
配合飼料に冷凍アカムシを解凍したものを混ぜ、数分置いたものを
使用します。アカムシの量を徐々に減らして配合試料に慣れさせます。

3.初期飼育環境

うちの飼育容器で使ってる飼育用品はこんな感じです。

IMGP0082.JPG


ペットショップで売ってるような高級品は一切ありません。
ホームセンターで購入できる物の寄せ集めです。

電球はレフ球込みで1200円ぐらい、容器は200円のコンテナBOX、
石はガーデニング用の100円の溶岩石、皿は100均のやつです。
シェルターは素焼きの90円植木鉢を半分に切ったもので、
水切りとして、下に200円のプラスチックタイルを敷いています。

電球はあくまでホットスポットとして使います。紫外線のことは
気にしていません。今まで甲羅が柔らかくなったことも無いです。
ホットスポット直下は40℃ぐらいになるのがいいと思います。

とはいえ、週に1度程度は日光浴させてあげた方が良いでしょう。
自分も、休みの日などに1~2時間ほど屋外で日光浴させています。
ただ、必ず水を入れた環境で日陰を作っておきましょう。
熱中症による亀の死亡事故ってのは意外と多いです。

これらを組み合わせると、こんな感じになります。

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見た目は悪いですがメンテナンス性を重要視したらこうなりました。
管理としては水替えは毎日、全体清掃は週1といった感じです。
臭いが気になる場合には適宜全体清掃します。数が多いと
臭いが出やすくなるので、自分なりに簡素化してください。

ミズガメの飼育環境には見えないと思いますが、イシガメの場合は
皮膚病防止のためにも最初の1~2か月はこの様な環境が楽です。
本格的な水場デビューは甲長5cmを超えてからで充分です。

夜間はこの容器で飼育しないので夕方には皿を洗って乾かします。
餌は毎朝、皿に水を入れる時に水場に撒きます。

IMGP0080.JPG


夜はミズゴケや新聞紙を入れた容器に入れて、20℃以下に
下がらない場所(理想は25℃の環境)で眠らせます。

4.その後の飼育環境

餌食い等に問題なく順調に育ては2か月もする頃には体も大きくなります。
こうなれば、普通のミズガメの飼育環境でも問題ありません。
観賞魚用の上部ろ過を使うと、週1の水換えで十分管理できます。

この頃になれば餌は水に撒かずに湿らせたものを陸場の水際に置いて
水の汚れを抑えるような給餌も可能になります。

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汚くてアレですが、越冬用の管理場です。全体が保温箱に入ってます。
夏場はプラ舟ごと屋外に移動すればこの環境のまま管理できます。
今は先日皮膚病で回収した2歳イシガメが入ってます。もう治ってます。

冬眠させずに越冬する場合であれば水温を20℃程度に維持します。
気温も20~25℃を維持し、完全に乾くホットスポットも準備します。

夜は継続してミズゴケ等を入れた容器に入れて乾燥させます。
まだちょっとしたことで体調を崩す時期ではあるので予防措置です。
以降は状態を見ながら、徐々にプラケースへの回収をやめます。

5.皮膚病になったら

天候不順などで、活性が落ち、十分な甲羅干しができなかったり、
室内飼いできちんとしたホットスポットが用意されていないと
表皮が菌に冒され、俗に言う「水かび」が発生します。

初期症状であれば皮膚に白っぽい綿が付いたように見えます。
放っておくと殺してしまうので、早期に治療します。

治療に使うのは、メチレンブルーです。魚用の薬ですがカメにも使えます。
魚を取り扱っている店ならばほぼ間違いなく置いてあります。
魚に使う濃度より濃いめの濃度で数時間薬浴します。カメが青くなりますが、
そのうち消えますので気にしないでください。

数時間の薬浴後は、新聞紙を敷いたプラケースに入れ、半日乾燥させます。
日向の乾燥は脱水症状が怖いので暖かい場所で陰干しがベストです。

以降は温度と水温の条件が良い場所で1週間ほど様子を見ます。
治療後すぐに餌を食べる体力があれば特に問題なく回復します。

・・・まあ、こんな感じです。イシガメベビーの飼育で最も大事なのは
しっかりと乾燥させてやることです。紫外線以上にホットスポットの温度が
重要ですので、その辺を間違わない方が良いと思います。

今回の方法はかなり常識外れのような管理に見えると思いますが、
毎年この管理法でベビーは全く問題なく大きく育っています。
自分にあった管理法を見つける一助になれば良いと思います。

では良きイシガメライフをお過ごしくださいませ。
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